猫も喉が渇く?水をよく飲むのは病気のサイン。飲水量を測ろう!

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獣医師のにゃんとす@nyantostosです!

今日は猫の飲水量のお話です。

暖かくなってくると、猫ちゃんの飲水量も少しづつ増えていきます。

しかし、水の飲み過ぎは病気のサインの可能性が高いです。

特に、7歳以上の高齢猫や肥満猫を飼っている方は特に注意が必要です。

水をよく飲むようになったなぁ…と感じた場合は、すぐ動物病院で精密検査を受けましょう。

糖尿病や慢性腎臓病などの病気が影に潜んでいる可能性があります。

最近よく水を飲むといって来院される猫ちゃんの血液検査をすると、血糖値や腎臓の値が上がっていることが多いんですよね…

この記事では、水を飲み過ぎてしまう場合に考えられる病気や正しい飲水量の測り方など詳しく解説しています。

むしろ全然水を飲んでくれなくて悩んでいる方は、こちらの記事を参考にしてください。

勘違いししがちですが、水をよく飲むから病気になるのではありません。病気になった結果、喉が渇きやすくなって水をたくさん飲みたがるのです。

水をたくさん飲むこと自体は、病気の予防にもつながります。水を飲んでもらえるような工夫をしましょう!

獣医にゃんとす

獣医にゃんとす

獣医師・獣医学博士

– 臨床獣医師を経験後、がんをはじめとした難病に苦しむ動物を救うべく研究者を志す。

1匹の猫と暮らす「げぼく」

著書:猫をもっと幸せにする『げぼくの教科書』

この記事を書いた人

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獣医師・獣医学博士

– 臨床獣医師を経験後、がんをはじめとした難病に苦しむ動物を救うために研究者を志す。

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目次

水の飲み過ぎの裏には”喉が渇く病気”が隠れている!

水をよく飲むのは喉の渇きのサイン

なぜ、水の飲み過ぎが病気のサインになるのでしょうか。

猫が水をよく飲むということは、その猫は喉が渇いているということです。

そんなの当たり前でしょ!

と思うかもしれません。

しかし、水をよく飲むことが良いことだと思う飼い主さんは結構多いんですよ。

でもこれは間違いです。

水の飲み過ぎは病気のサインです!

ではどういった病気の時に喉が渇くのでしょうか?

猫ちゃんの喉が渇く最も多い原因は以下の2つです。

・ホルモンの異常
・腎臓の機能が低下した時

ホルモンの異常や腎機能の低下が起こると尿量がどんっと増えます

そして大量の尿によって体の水分が失われ、脱水状態になり、喉が渇くのです。

飲水量の増加は喉が渇く病気のサイン

この症状を難しい言葉で表現すると、「多尿多渇(たにょうたかつ)」と言います。

「多尿多渇」とは、文字の通り多量の尿をして、喉が渇き、そしてその結果、水をよく飲むようになることを指しています。

猫ちゃんが多尿多渇、そして水をよく飲むようになる時に考えられる病気は主に3つ!詳しくみていきましょう!

猫が水をよく飲む時に考えられる病気

水をよく飲むようになる時に考えられる病気はいくつかあります。

今回は特に高齢猫に多く、診察でも遭遇率の高い、以下の3つの病気について詳しく見ていきましょう!

飲水量が増加する3大疾患

  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • 甲状腺機能亢進症

猫が水をよく飲む病気①:慢性腎臓病

慢性腎臓病

腎臓は尿の濃さを調節してくれる臓器です。

体の水分が少なくなった時は、尿を濃縮し、おしっこを濃くすることで、尿からの水分の喪失を抑えてくれます。

しかし、慢性腎臓病によって腎臓の機能が低下すると、尿を正常に濃縮することができなくなってしまい、尿量が増えてしまうのです。

特に慢性腎臓病の初期〜中期にかけては、この尿量の増加が認められやすく、それに伴って喉が渇き、水をよく飲むことがあります。

猫が水をよく飲む病気②:糖尿病

猫の糖尿病

インスリンは血糖値を下げるホルモンです。

糖尿病はこのインスリンの機能が低下してしまうことで、血糖値が異常に高い状態が続いてしまう病気です。

猫ちゃんの場合、多くは肥満などによってインスリンの効きが悪くなってしまうことで、糖尿病を発症します(2型糖尿病)。

ではなぜ糖尿病になると喉が渇くのでしょうか?

血糖値が高い状態が続くと、血液中の糖を大量の水分と一緒に尿として排出しようとします

これによって尿量が増え、脱水→口渇→飲水量の増加につながるのです。

特に肥満気味の猫ちゃんを飼っている方は、水を飲む量を気をつけて見ておくべきでしょう。

猫が水をよく飲む病気③:甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症とは、その名の通り甲状腺が働きすぎてしまう病気です。

甲状腺は喉の気管のそばにある器官で、元気ホルモンとも呼ばれる甲状腺ホルモンを分泌しています。

甲状腺機能亢進症ではこの元気ホルモンが過剰に分泌されることで、様々な症状が出るのです。

甲状腺機能亢進症の症状

  • 食欲の増進
  • 食べても痩せる
  • 嘔吐/下痢
  • 攻撃的になる
  • 尿量の増加・飲水量の増加
  • 毛艶が悪くなる
  • 頻脈・心雑音・心肥大

典型的な症状としては食欲が異常に増したり、攻撃的になったり…

新陳代謝が活発になるので、食事をたくさん食べるにもかかわらず、痩せていくのも特徴の1つです。

一方で、甲状腺ホルモンは心臓から作られる利尿ホルモン(ANP)の産生を増加させるように指示する働きも持っています。

この利尿ホルモンの作用よって、尿量が増加し、脱水することで、水をよく飲むようになるのです。

体重 × 50mL以上の水を飲む場合は注意が必要

では具体的にどれくらいの量を飲むと、異常なのでしょうか?

目安としては体重 × 50 ml以上の水を飲む場合、水の飲み過ぎと判断して良いでしょう。

例えば、うちのにゃんさんは体重5kgなので、5×50 = 250mL以上飲むと異常ということになります。

ウェットフードを食べさせている場合

上記の体重×50mLという値は飲水 + 食事の合計量です。

ウェットフードを与えている場合は、フードに含まれる水分も考慮しなくてはいけません

例えば1日に200gのウェットフードを食べていると仮定しましょう。

1日200gのウェットフードの場合

多くのウェットフードに含まれる水分量はおよそ75%です。

つまり、200g × 0.75 = 150 mLの水分を食事から取っていることになります。

ドライフードの場合は5kg × 50 = 250mL以上で水の飲み過ぎでした。

一方、ウェットフードの場合は250mL – 150mL = 100mL以上で水の飲み過ぎということになります。

猫の飲水量の測り方

置き水は猫が飲む以外にも蒸発して減っていきます。

正確に飲水量を測る場合は、蒸発量を考慮に入れた以下の方法で測ると良いでしょう。

  1. 同じ形の水入れを2つ用意する
  2. どちらにも同じ量の水を入れる
  3. 1つは普段通り猫が自由に飲める場所に置く(A)
  4. もう1つは隣に猫が飲めないように網をして置く(B)
  5. Bの残りの水の量 – Aの残りの水の量 = 猫が飲んだ水の量

これで正確な飲水量を測ることができます。
もちろん体重 × 50 mlを超えていないかをチェックするのも大事ですが、猫ちゃんごとに水の飲む量には個体差があります。

1番大事なのは変化です。

日頃から飲水量を測定しておき、増加していないかどうかチェックするのが良いでしょう。

飲水量が正常だからといって、上記の3つの病気を否定できるわけではありません。

猫は本来水をあまり飲まない動物なので、病気の初期など多尿があっても飲水量が正常の場合もあります。

尿も一緒にチェックしましょう!

これまで説明してきた通り

水を多く飲むようになる病気は「尿の量が増えて喉が渇く病気」でした。

ということは…

なんだか最近水を多く飲むようになったなあと思ったら、飲水量を測ると同時におしっこも確認して見ましょう

  • 量や回数が増えていないか?
  • おしっこの色が薄くなっていないか?

とはいえ、猫砂トイレの場合はなかなか尿量や色を確認するのは難しいですよね。

だからこそ、飲水量を測ることが大事なのです

システムトイレを使用している場合、ペットシーツの重さを測ることで尿量を測定することができます。

これはまたの機会に説明します。

勝手に飲水量を制限してはいけない

飼い主さんの中には、猫が水を飲み過ぎていると、心配になって飲水を制限してしまう方がいらっしゃいます。

しかしこれはやってはいけません!

なぜなら、猫ちゃんの脱水状態が悪化してしまうから。

水を飲み過ぎてしまう場合は、水を制限せずに早めに動物病院を受診しましょう。

猫が水を飲み過ぎてしまう時のまとめ

猫が水を飲み過ぎてしまう時に考えられる3大疾患は以下の通りでした。

飲水量が増加する3大疾患

  • 慢性腎臓病
  • 糖尿病
  • 甲状腺機能亢進症

これらの病気は早期発見・適切な治療を行うことで猫ちゃんの寿命をグッと伸ばすことができます。

目安として体重 × 50 mL以上飲んでいる場合は、飲水量の増加と判断して動物病院で検査を受けた方が良いでしょう。

上記3つの病気になりやすいシニア期の猫ちゃんや肥満気味の猫ちゃんは特に飲水量に注意しましょう。

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