ども!にゃんとす@nyantostosです!
今日は猫アレルギーについての研究をご紹介!
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猫大好きなのにアレルギーだから飼えない、、、もふもふしたいなぁ
そんなあなたに朗報?!
猫アレルギーを軽減するワクチンが開発されました!
しかも「猫に接種するワクチン」なんです!!
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猫に接種するワクチンなんて…想像つかない…
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そうなんです!ワクチンの対象がヒトではなく、ネコって斬新な発想ですよね!
そこで今回はこの猫アレルギーに対する猫接種型の新しいワクチンについて詳しく解説します!
この記事は2019年にスイスの研究グループが発表した研究成果をもとに作成しております(引用元はページ下に掲載)。
![獣医にゃんとす](https://nyantos.com/wp-content/uploads/2021/12/b3f2710f9bc1d3472af1ae08cf602d8d.png)
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獣医にゃんとす
– 獣医師・獣医学博士
– 臨床獣医師を経験後、がんをはじめとした難病に苦しむ動物を救うべく研究者を志す。
– 1匹の猫と暮らす「げぼく」
– 著書:猫をもっと幸せにする『げぼくの教科書』
この記事を書いた人
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– 臨床獣医師を経験後、がんをはじめとした難病に苦しむ動物を救うために研究者を志す。
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なりすまし行為に注意
獣医師相談サイトなどで獣医にゃんとす、もしくはこの記事のゴーストライターを名乗るなりすまし行為が多数発生しております。このブログのすべての記事を獣医にゃんとす本人が執筆しております。またいかなるプラットフォームでも個別相談はお断りし、かかりつけ医の受診をお願いしております。なりすまし行為にはご注意ください。
猫アレルギーはなぜ起こる?
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そもそも猫さんの何に反応しているの…?
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ほとんどの人が猫ちゃんのFel d1と呼ばれる分子に反応していると言われています。
猫アレルギーが起こる仕組みはこうです。
Fel d1は主に猫ちゃんの唾液に多く含まれています。
このFel d1がグルーミングなどによって、唾液中から体の毛に行き渡ります。
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そして、このFel d1がくっついた毛やフケが空気中に舞い、それを吸い込むことによってアレルギー症状が出るのです。
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つまり、このFel d1を減らせば、猫アレルギーを抑えることができるんじゃないか?という発想に至るわけです!
猫にワクチン打って大丈夫?
では、どのようにして猫の体内のFel d1を減らすのでしょうか?
そこで登場するのが「ワクチン」です。
ワクチンは、自分の体にとって異物であるもの対する免疫(抗体)をつけるものです。
つまり、研究グループは「Fel d1に対するワクチンを作って、Fel d1に対する免疫を高めることができれば、猫の体内からFel d1を減らすことができるのでは?」と考えたわけです。
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ワクチンって本来、ウイルスなどの感染症に対するものではないの?
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本来、感染症の予防のためのものをワクチンと呼んでいましたが、最近では定義が広まって「何か特定の物質や病原体、細胞に対する免疫を高めるもの」といった感じですね。
ワクチンには工夫が必要
しかし、ここで問題が。
本来「免疫」とは、体の中に入って来た異物を排除するもの。
一方で、Fel d1は猫の体内に元々存在する分子です。
元々存在する自分由来の分子に対しては免疫は活性化しにくいのです。
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つまり、自分由来の分子であるFel d1に対して、強力に免疫を活性化させるための工夫が必要でした。
そこで研究グループが作製したワクチンはこんな感じ!
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ワクチンの本体はキュウリモザイクウイルスという植物に感染するウイルスに似た粒子を使い、これに「組換えFel d1」と「破傷風毒素由来のT細胞エピトープ(CuMVtt)」を含ませました。
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破傷風毒素由来のT細胞エピトープ??何ですかそれ…
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自分由来の分子であるFel d1に対して強い免疫を誘導するための、このワクチンのキモの部分です!
破傷風毒素は猫ちゃんにとって”異物”です。そのため、破傷風毒素を体内に入れると毒素に対して強力な免疫反応が起こります。
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毒素なんて体内に入れて大丈夫なんですか!?
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そう危ないのです。そこで、破傷風毒素の免疫を活性化する部分(T細胞エピトープ)だけをウイルスに含ませたのです!
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なるほど!これのおかげでFel d1に対して強力な免疫を誘導することができるんですね!
このようにして、ワクチンを接種した猫の体内では、Fel d1に対する抗体が大量に作られます。
そして、抗体が結合したFel d1は免疫の力によって分解され、体内から消失するのです。
ワクチンの実際の効果は?
Fel d1は涙にも多く含まれます。
そこで、この研究ではこのワクチンを接種した猫18匹の涙を採取し、接種前と接種後85日の時点での涙中に含まれるFel d1濃度を測定しました。
その結果、ワクチンの接種によりFel d1に対する強い免疫反応が誘導され、Fel d1を6割以上減らすことに成功したそうです!
またワクチン接種による大きな副作用も認められなかったそう。
猫接種型ワクチンの実用化はいつ?
この研究から、このワクチンが猫の体内からFel d1を減らすことができることが証明されました。
しかし、これですぐに実用化!とはなりません。
今後は実用化に向けて、実際に人のアレルギー症状が改善するかどうかの臨床試験が必要でしょう。
6割以上Fel d1を減らすことができたとはいえ、4割弱はFel d1は残っていることになりますからね。
また、Fel d1の生理的な機能についてはまだよくわかっていないことも多いです。
大きな副作用は今のところ認められていないようですが、猫の体内からFel d1が減少することによる長期的な影響は本当にないのかしっかり検証して欲しいところです。
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早めの実用化が望まれますが、猫ちゃんにとって安全なワクチンであることが大前提です。
ワクチンだけじゃない!猫アレルギーの改善方法!
ワクチンなしでもある程度、猫アレルギーの症状は和らげることができます。
ポイントはこれまでの話を見るとわかりますね。
そう、とにかく体内に取り込むFel d1を減らすことです。
以下に猫アレルギーを和らげる方法をまとめます。
・プラズマクラスター付き空気清浄機を使う
・部屋を清潔に保つ
・こまめなブラッシング
・去勢手術をする
プラズマクラスター付きの空気清浄機は、空気中のFel d1を80%近く減少させることが実験で証明されています。
またFel d1は毛にくっつくので、抜け毛が舞わないようにする工夫も非常に大切です。
こまめなブラッシングや吸引力の強い掃除機で抜け毛を処理しましょう!
また、雄猫の方がFel d1を多く分泌することが知られています。
そのため、去勢をすることで、Fel d1の分泌量を減らすことができると言われています。
まとめ
まだまだ乗り越えるべき壁はいくつかありますが、猫接種型ワクチンは猫アレルギーの症状を改善する可能性が大いにある画期的な方法と言えます。
猫アレルギーが減れば、猫を飼える人が増える。
それによって行き場のない捨て猫ちゃんたちが一匹でも多く幸せになってくれればいいなと思います。
引用文献:Thomas F., et al.: Immunization of cats to induce neutralizing antibodies against Fel d 1, the major feline allergen in human subjects, J Allergy Clin Immnol, 144(1):193-203, 2019.