獣医師のにゃんとす@nyantostosです。
よく猫の飼い主さんから『ドライフードとウェットフード混ぜて与えても良いの?』と聞かれることがあります。
結論から言うと、ドライフード・ウェットフードの両方を与えるミックスフィーディングという考え方で、おすすめの方法です!
- ドライフードのメリット・デメリット
- ウェットフードのメリット・デメリット
- ミックスフィーディングについて
ドライフードのメリット&デメリット
ドライフードのメリット
キャットフードといえばカリカリ!
実際にドライフードを与えている飼い主さんの方が断然多いです。
なぜドライフードが選ばれるかというと、一言で言うと「安くて便利だから」。
- 長期の保存ができ、扱いやすい
- ウェットフードより低価格
- 歯石がつきにくい(証明はされていない)
ドライフードの定義は、”水分の含有量が10%以下の乾燥した粒状のペットフード“のこと。
乾燥させることで、細菌やカビなどの微生物の増殖を抑えることができるため、ウェットフードと比較して長期保存ができます。
そのため、断然扱いやすいのはドライフードですよね。
価格もウェットフードに比べてお求めやすい価格になっています。
またウェットフードよりフードが口腔内に残りにくいためか、歯石がつきにくいと言われています。
ドライフードのデメリット
一方、水分含有量の低さから食事から水分を取れないことが、ドライフードの1番のデメリットです。
- 食事から水分を取ることができない
本来砂漠の動物だった猫は、その環境に順応した結果、喉の渇きセンサーが鈍く、あまり自発的に水を飲んでくれません。
なぜ水を飲ませることが重要なのですか?
水を飲まないとおしっこが濃くなり、結石などの泌尿器の病気になりやすいと言われているからです!
猫は下部尿路疾患や特発性膀胱炎といった泌尿器の病気が圧倒的に多いです。
この原因は諸説ありますが、一説に猫があまり水を飲まないからではないかと言われています。
人間も膀胱炎や尿路結石になった時は、水をいっぱい飲んでおしっこをたくさんしたほうがいいという話を聞いたことはありませんか?
猫ちゃんの場合もそれと一緒です。
実際に特発性膀胱炎の猫ちゃんにウェットフードを与えると、再発率が有意に低下したという研究もあります。
それくらい水分摂取は猫にとって大事なのです。
健康で長生きするためには日頃から十分な水分補給をさせる必要があると言われています。
ドライフードのみを与える場合、猫ちゃんにより多くの水を飲んでもらうための工夫をしてあげる必要があります。
ウェットフードのメリット&デメリット
ウェットフードのメリット
あまり水分を含まないドライフードに比べ、ウェットフードには70-80%以上水分が含有されています。
そのため、水分を食事から楽に取れるのがウェットフードの1番のメリットです。
- 食事から水分をラクに摂取することができる
- 満腹感が得られやすい(肥満予防になる)
- 一般的にドライより嗜好性が高い
水分量が多いので、同じ量でもウェットフードの方が満腹感が得られやすいのもメリットで、肥満気味の食いしん坊ねこちゃんにもおすすめです。
またドライフードより香りが立つためか、猫の食いつきが良いのもウェットフードのメリットです。
ウェットフードのデメリット
ウェットフードのデメリットは値段と手間、保存が効かないことです。
- ドライフードに比べて値段が高い
- 保存がきかない
- 冷蔵庫で保存していた場合、冷たいものを嫌う猫がいる
値段が高いので、多頭飼いをしている方や経済的に余裕がない方にはウェットフードを毎日与えることは負担になってしまいます。
また保存がきかないので、残ったフードにラップをして保存して…次に与える時に少し温めなおして…とドライフードより手間がかかってしまうこともデメリットの1つ。
さらに、ドライフードのように出しっぱなしにすることはできないので、食べきれなかった分は処分してあげる必要があります(4時間以上は放置しない方が良い)。
ドライとウェットフード、どっちが優れているか?
ではドライフードとウェットフード、どちらを選べば良いのでしょうか?
これは今まで説明してきた通り、どちらもメリット・デメリットがあるため、一概にどちらが良い!と決めることはできません。
メリット・デメリットをよく理解した上で、飼い主さんの都合や猫ちゃんの好みによって決めることになります。
「ドライ・ウェットどちらが良いか」についてのにゃんとすの考え
結局どっちが良いのでしょうか?
猫の健康のことを第一に考えるとウェットフードを与えた方が良いと思います!
これは、やはり水分を食事から補給することができるのは非常に大きなメリットだからです。
特に高齢の猫ちゃん、慢性腎臓病や特発性膀胱炎、尿結石を含む下部尿路疾患などの基礎疾患がある猫ちゃんの場合はウェットフードの方が良いかなと思います。
更に上記に当てはまる猫は食欲が落ちていることも多いですから、嗜好性の高いウェットフードの方がよく食べてくれる場合もあります(特にレンジで温めると効果UP)。
また、現代の猫ちゃんの多くは肥満傾向であると言われています。
満腹感が得られるウェットフードはこういった面でも効果を発揮するでしょう。
一方、若い猫ちゃんや健康な猫ちゃんの場合はドライフード(もちろんウェットでも良い)でも良いでしょう。
ただその場合も、新鮮な水をたくさん与える工夫はすべきだと思います。
例えばうちは全てドライフードを与えていますが、水分量を増やす&満腹感が得られるため、夜ごはんはぬるま湯でふやかして与えています。
しかし、このドライフードをふやかす方法は多くの猫ちゃんは嫌がります(うちのにゃんさんは食いしん坊なので全く問題なく食べてくれますが…笑)
そこでおすすめしたいのが、ドライフードとウェットフードの両方を与えるミックスフィーディングです。
ミックスフィーディングのすすめ
ミックスフィーディングはドライフードとウェットフードの両方を与える方法です。
つまり、ドライとウェットのいいとこ取りですね!
例えば…
- 朝ごはん→ 1日出しっぱなしにできるドライフード
- 夕ごはん→ ウェットフードを与え、食べ残しは寝る前に処分(乾燥・腐敗を防ぐ)
のように与える方法です。
こうすることでドライフードの扱いやすさ、お皿に出しっぱなしにできるというメリットと同時に、ウェットフードから水分を十分摂取することもできます。
またウェットフード単体よりコストもかからず、ドライフード単体より満腹感も得られやすいのです。
そのため、肥満傾向の猫ちゃんやあまり自発的にお水を飲まない猫ちゃんにはとてもおすすめの食事方法なのです。
- 肥満傾向である
- あまり自発的に水分を取ってくれない
ミックスフィーディングの注意点
ミックスフィーディングの際に注意すべきことは以下の2点です。
- 「総合栄養食」のウェットフードを選ぶ
- ドライフードと同じ製品のウェットフードを与える
「総合栄養食」のウェットフードを選ぶ
キャットフードは主に「総合栄養食」と「一般食」があります。
総合栄養食とは、猫が生きていくために必要な栄養素が全て含まれているフードです。すなわち、そのフードと水だけ与えていれば、栄養的には大丈夫!というフードのことです。
一方、一般食とはいわば総合栄養食の基準を満たしていないフードです。
ドライフードはほとんどが総合栄養食なので、あまり気にする必要はありませんが、ウェットフードはおやつとしてや食いつきをよくするために使うこともよくあるので、一般食のウェットフードは結構あります。
ミックスフィーディングの場合は、こうした場合より多い量を与えるようになるので、必ず総合栄養食のフードを選ぶようにしましょう。
ドライフードと同じ製品のウェットフードを選ぶ
ミックスフィーディングを行う時はドライフードとウェットフード、できればどちらも同じ製品のものを選ぶようにしましょう。
ヒルズの避妊去勢後用のドライフード+ヒルズの避妊去勢後用のウェットフード
みたいな感じですね。
例えば、極端な例を出すと避妊去勢後用のドライフードとシニア用のウェットフードみたいな組み合わせはやめましょうってことです。
ミックスフィーディングにおすすめのフード
まず、ドライフードから決めましょう。
私のおすすめのドライフードは以下の記事でもまとめた通り、以下の3つです。
そのため、ウェットフードもこれらに対応した製品を選ぶのがおすすめです。
全てのシリーズは紹介できないので、今回は肥満気味の猫ちゃん向けにおすすめの組み合わせをご紹介しましょう。
肥満気味の猫ちゃんの食事に、ウェットフードを取り入れることで、満腹感が得られやすくなるという大きなメリットがあります。
ヒルズのおすすめの組み合わせ
ヒルズのサイエンスダイエット(プロ)は最新の研究成果に基づいたサイエンスフードです。
特にサイエンスダイエットプロシリーズはすごいですね。
避妊去勢後は肥満だけでなく、尿路結石のリスクも上がります。
- 肥満のリスク:3.4倍
- シュウ酸尿石のリスク:7倍
- ストルバイトのリスク:3.5倍
これらのリスクから愛猫の健康を守るために設計されたフードがヒルズのサイエンスダイエットプロシリーズの去勢・避妊後用です。
ヒルズのおすすめのドライフード
プロはちょっと高いなぁという方にはお手ごろな価格でサイエンスの力を食事に取り入れることができるサイエンスダイエットシリーズもおすすめです。
そしてこのサイエンスダイエット(プロ)シリーズと一緒に与えたいウェットフードがこちら。
一緒に与えたいウェットフード
*リンク先の個数に注意してください
あまり知られていないのですが、サイエンスダイエットシリーズにもウェットフードがあるんですよ。
独自の栄養組成で脂肪分約29%、カロリー約19%減(「アダルトチキン成猫用」ドライ製品との比較)で、適正体重の維持をサポートしてくれます!
給餌量は公式ページの給餌量ガイドを参照してください。
以下の記事では私のヒルズ愛を語っておりますのでぜひ読んでみてください(笑)
ロイヤルカナンのおすすめの組み合わせ
ロイヤルカナンもヒルズと並んで有名なサイエンスフードの1つです。
ロイヤルカナンのおすすめドライフード
一緒に購入したいドライフード
*リンク先の個数に注意してください
給餌量は以下の公式サイトの給餌表を参考にしてみてください。
ピュリナワンのおすすめ組み合わせ
ピュリナワンは大手メーカーのフードでありながら、コストパフォーマンスに優れている点が1番のメリットです。
ピュリナワンのおすすめドライフード
一緒に購入したいウェットフード
*リンク先の個数に注意してください
- 大手メーカーのフードで、研究にも力を入れている
- コスパが良い
ラインナップにグレインフリーがありますが、上述の通りそれにこだわる必要はありません。
給餌量は以下の公式サイトの給餌表を参照してください。
ドライとウェットどっちがいい?のまとめ
ドライフード、ウェットフードそれぞれメリット・デメリットを良く理解して、愛猫の好みや飼い主であるあなたのライフスタイル等を考慮して、最適な組み合わせを見つけてみてください!
肥満気味な猫ちゃんや水をあまり飲んでくれない猫ちゃんにはミックスフィーディングも非常におすすめですよ。