獣医師のにゃんとす@nyantostosです。
布団や洗濯物でおしっこやうんちをしてしまいます…トイレのしつけはどのようにしたら良いでしょうか…
という質問をよく受けます。
ぶっちゃけると、基本的には猫にトイレのしつけは必要ありません。
なぜなら、猫は祖先は砂漠に住んでいたので、本能的に砂の上で用を足すのです。
いやいや、それならうちの猫はどうしてトイレを失敗してしまうのでしょうか…
それはズバリ、トイレが気に入らないからなのです。
すなわち、あなたが設置している猫トイレよりも、お布団や洗濯物でおしっこする方が快適だと猫が感じているってわけです。
言い換えると、布団や洗濯物より快適なトイレを提供してあげることができれば、しつけなしでもトイレの失敗が改善するのです。
じゃあ、猫が快適なトイレってどんなトイレなの…?
猫にとって快適なトイレは「公園の砂場」なのです!
実際にTwitterでトイレを改善した方達から喜びの声が….!
そこで、この記事では…
- 猫にトイレのしつけはなぜ不要?
- 猫にとって快適なトイレの条件とは?
- トイレや猫砂はどんなものを選べば良いの?
などを詳しく解説します!
猫のトイレの失敗で悩むあなたの参考になれば幸いです。
獣医にゃんとす
– 獣医師・獣医学博士
– 臨床獣医師を経験後、がんをはじめとした難病に苦しむ動物を救うべく研究者を志す。
– 1匹の猫と暮らす「げぼく」
– 著書:猫をもっと幸せにする『げぼくの教科書』
この記事を書いた人
獣医にゃんとす
– 獣医師・獣医学博士
– 臨床獣医師を経験後、がんをはじめとした難病に苦しむ動物を救うために研究者を志す。
– 1匹の猫と暮らす「げぼく」
– 著書:猫をもっと幸せにする『げぼくの教科書』
なりすまし行為に注意
獣医師相談サイトなどで獣医にゃんとす、もしくはこの記事のゴーストライターを名乗るなりすまし行為が多数発生しております。このブログのすべての記事を獣医にゃんとす本人が執筆しております。またいかなるプラットフォームでも個別相談はお断りし、かかりつけ医の受診をお願いしております。なりすまし行為にはご注意ください。
猫の粗相は泌尿器病の可能性も!
猫の粗相は泌尿器の病気の可能性もあります。
・血尿が出ている
・排尿ポーズをとるが尿が出づらい
・排尿時に鳴く
…などの症状が見られる場合は、迷わず動物病院を受診してください。
泌尿器の病気は命に関わることがあります。
基本的に猫にトイレのしつけは必要ない!
最新の研究で、猫の祖先はアフリカ・中近東の砂漠に生息するリビアヤマネコであることがわかってきました。
そのため、猫は本能的に砂場で用を足すことを好むと言われています。
実際に多くの猫ちゃんが、しつけなしで自分で猫砂入りのトイレで用を足します。
それでも粗相をしてしまう猫ちゃんがいるのはなぜでしょうか?
それは、トイレよりも布団や洗濯物の方が気に入ってしまっているからなんですね。
例えばあなたのトイレ、こんな感じではありませんか?
- トイレのサイズが小さい
- システムトイレを使っている
- 猫砂は木や紙製のものを使っている
こういったトイレは典型的な猫が気に入らないトイレ。
特にシステムトイレは飼い主にとっては便利ですが、猫には不人気なことが多い印象です。
こういった場合に、無理にしつけようとするのは逆効果。
ニンゲンに例えると、「汚い公衆便所を使え」と言っているようなものなんです。
まずは猫ちゃんのお気に召すような「快適トイレ」を目指してみましょう!
粗相していなくてもトイレが不満な可能性も?
最新の研究によると猫はトイレに不満があっても、ある程度は我慢してそのトイレを使い続けることがわかってきました。
すなわち、「トイレが気に入らないサイン」は粗相だけではないということ。
例えば…
- トイレの縁に足をかける
- トイレの縁やトイレ以外の壁や床をカリカリする
こんな仕草をしていたら、トイレを我慢して使っているのかも?
トイレを我慢することは尿結石や特発性膀胱炎のリスクになります。
以下の記事では猫のトイレが気に入らない8つのサインについて解説しています!
粗相をする猫にはしつけではなく「最高のトイレ」を
では、猫にとって快適なトイレとはどんなトイレなのでしょうか?
これまで多くの研究者が猫が最も好むトイレの条件について様々な研究を重ねてきました。
そしてその答えは単純・明快でした。
猫が最も好むトイレをひとことで言えば、「公園の砂場」です。
とにかく広くて粒の小さな猫砂、これが多くの猫ちゃんが好きなトイレの特徴なんですよね。
とはいえ、部屋に砂場は置けないので、以下の条件を満たすトイレを目指しましょう。
- できるだけ大きなトイレを選ぶ(横幅50cm以上)
- 猫砂は鉱物系を選ぶ
詳しく見ていきましょう!
できるだけ大きいトイレを選ぶ
複数の過去の研究によると、猫はとにかく広くて大きいトイレを好むことがわかってきました。
以下に過去の研究をまとめます。
著者・年数 | トイレの大きさ | 結果 |
Guy et al, 2014 | 50 cm × 50cm v.s 86 cm × 86 cm | 86 cm × 86 cmの方を好む |
McGowan et al, 2017 | 89 cm × 89 cm × 17 cm v.s 41cm × 30cm × 10 cm | 89 × 89 × 17 cmで粗相なし 41 × 30 × 10 cmでは粗相あり |
井上ら, 2020(JCVIM) | 40cm v.s 50cm v.s 60cm | 50cm・60cmを好む |
上記の表から、少なくとも横幅50 cm以上のトイレを選ぶ必要があることがわかります。
しかし、飼い主さんの中でこの条件を満たしているトイレを提供できている方は少ないです。
というのも、市販されているトイレはこれよりも小さいものがほとんどなんですよね。
そのため、「トイレの大きさ」は意識して選ぶ必要があります。
おすすめの猫トイレは「リッチェル コロル F60」です。
おすすめの猫トイレ
うちではカバー付きを使用しています。
- 猫に人気の大きいゆったりサイズ
- フード付きで砂が飛び散りにくい
- 猫砂の深さがわかりやすい
- とりあえず安すぎ
\ 獣医師が詳しくレビュー /
シンプルイズベストとはこのこと。
でかい!・安い!が揃った、猫にもお財布にも優しい理想のトイレ!笑
Amazonでも超人気商品です。
以下の記事では、最新の論文・エビデンスを交えつつ、「リッチェル コロル F60」以外のおすすめの猫トイレを詳しく紹介しています。
猫砂の一番人気はダントツで「鉱物系」
猫砂の好みについての研究もいくつか行われてきました。
Neilsonらは、シリカゲルの猫砂よりも固まるタイプの猫砂を好むことを発見、さらにBorcheltらも同様に15種類の猫砂のうち、粒が小さい固まる猫砂を好むことがわかりました。
さらに東京猫医療センターの服部先生・ライオン商事の共同研究(JCVIM, 2020)によると鉱物系の猫砂を最も好むことがわかりました。
以上の結果を踏まえると、がっちり固まる粒が小さい鉱物系の猫砂を選ぶべきだということがわかります。
鉱物系に含まれるベントナイトは危険か?
ベントナイトとは、鉱物系の猫砂の主成分で、猫砂がおしっこで固まるのはこのベントナイトのおかげです。
しかし、ネット上ではベントナイトが危険という情報が多くあります。
鉱物系の猫砂の砂ぼこりは大丈夫でしょうか?ベントナイトを猫が吸っているのではないかと心配です。
という声をTwitter上でもたくさん目にしました。
結論から言うと、今のところベントナイトを含む鉱物系の砂の使用と特定の病気の発症との関連は報告されていません。
そのため、ベントナイトを極度に恐れる必要はありません。
ベントナイト中毒の猫の1例という症例報告は存在しますが、これは異食症の猫ちゃんが鉱物系の猫砂を大量に食べてしまった…というレアケースです。
ただし、砂ぼこりはなるべく吸わないに越したことはありません(これはベントナイトに限った話ではなく、木製・紙製など他の猫砂でも同じです)。
猫砂を選ぶ際は、砂ぼこりが立ちにくい鉱物系を選ぶのが良いと思います。
おすすめの猫砂は「プレシャスキャット ウルトラ」です。
おすすめの猫砂
この猫砂、めちゃくちゃ良いです。
粒が小さく、自然の砂に近いのにホコリが少ない。
固まる力も非常に強く、数秒でがっちり固まります。
そのため、消臭効果も高いです。
安くはありませんが、おすすめの猫砂です。
\獣医師が詳しくレビュー /
以下の記事では、最新の論文・エビデンスを交えつつ、「プレシャスキャット ウルトラ」以外のおすすめの猫砂を詳しく紹介しています。
トイレ変更時・変更後の注意点
トイレを変更するときは必ずこれまで使っていたトイレはそのまま置いておきましょう。
快適なトイレにしたとはいっても、突然トイレが変わると猫もびっくりします。
新しいトイレに慣れるまでの暫くの間、古いトイレも隣に置いてあげてください。
猫トイレはいくつ置くべき?
猫トイレは通常、頭数+1個置くべきだと言われています。
単頭飼いの場合は新しいトイレ+古いトイレの2つでしばらく様子を見ましょう。
慣れてきたら古いトイレを大きいものに変えても良いですし、猫砂を鉱物系に変えるだけでも良いでしょう。
色々試して見てください。
また、最適なトイレや猫砂を揃えることも大事ですが、一番大事なのは常にトイレを清潔に保つことです。
最低でも一日2回は排泄物を捨ててあげましょう。
そして1ヶ月に1度は猫トレイを丸洗い・猫砂をまるごと交換してあげるとGOODです!
またある研究によると、猫はおしっこやうんちに限らず、何か”もの”がトイレに入っていることを嫌うようです。
例えば、掃除用のスコップはトイレの中に放置するのではなく、トイレの縁やトイレ外にしまう方がベターです。
トイレを置く場所にも注意
トイレを置く場所は、飼い主さんがよく過ごす部屋に置くのがおすすめです。
というのも、飼い主さんがよく過ごす部屋はエアコン等がついていて快適な室温のことが多いですよね。
特に冬は寒い部屋にトイレを置くと、猫はトイレを我慢します。
寒いとトイレがめんどくさくなるのは猫も一緒なんですよ。
また、食事とトイレが近いと嫌がる猫ちゃんも結構多いので注意してください。
もし粗相してしまったら….
粗相してしまった場合、1番大切なことは猫を叱ってはいけないということです。
拭き取ったペーパータオルなど排泄物の臭いがするものをトイレの中に入れておきましょう。
臭いを嗅いだり、そわそわし始めたら、抱っこしてトイレまで連れていってあげるのも良いです。
猫にトイレのしつけは必要ない!?のまとめ
愛猫がトイレを失敗してしまうとき、無理にしつけようとするよりも、トイレを見直すことが重要です。
猫が快適だと思うトイレの特徴は以下の通りでした。
- できるだけ大きなトイレを選ぶ(横幅50cm以上)
- 猫砂は鉱物系を選ぶ
横幅50cm以上の大型のトイレに鉱物系の猫砂を用意してあげましょう。
おすすめの猫トイレ
おすすめの猫砂